まえがき

統一原理の礎とされている『原理講論』(1966年発刊)の総序を見ると、その最後に「ここに発表するみ言はその真理の一部分であり、今までその弟子たちが、あるいは聞き、あるいは見た範囲のものを収録したにすぎない。・・・(中略)・・・一層深い真理の部分が継続して発表されることを信じ、それを切に待ち望むものである」とあります。

では、その「一層深い真理」とは、どのような真理でしょうか。総序には、また、「この真理は、あくまでも神の啓示をもって、我々の前に現れなければならないのである」とあります。

文鮮明(ムンソンミョン)が直接書かれた『原理原本』には、「人が、夢の中で真理を知り、また、未来のことが分かるのは、感覚が敏感になる就寝中に、神様からの波動を感じることができるようになるからである。このように、夢によって知らされるのである」とあります。

このことから、『原理原本』は、同師が夢を通して与えられた神の啓示を記録された、所謂、「啓示の書」であると言うことができます。

『原理原本』は、同師が1951年5月11日から1952年5月10日にかけて直接執筆されたものですが、70年間その内容が明らかにされませんでした。それは、速記のメモのようなもので、走り書きのままであり、校正されたものではありません。そのため、誤字脱字、主語や目的語などの脱落、意味不明な表現などが数多くあります。恐らく、夢で与えられた啓示を、忘れないうちに記録しようとされ、そうなったのだと思われます。

以上のことから直訳した段階では、到底理解できないところが多くあります。また、現代の科学者も驚くような科学的な内容が語られていることも理解を難しくしている要因の一つです。

同師は、『原理原本』の中で原罪という言葉を使われていません。一方、「祝福によって生霊体(せいれいたい)が授けられる」と語っておられます。これが「祝福によって原罪が清算される」ということの根本的な意味なのです。これは、本然の人間は、霊人体において、その最上級に位置する生霊体を、成長に応じて自然に授けられますが、堕落人間は、自然には生霊体を授けられないということです。そのため、祝福を受けなければなりませんでした。祝福を受けた夫婦間に生まれた二世の場合は、成長の過程で自然に生霊体を授けられると考えられます。

また、「この世に父母が存在するように、天にも父母が居られなければならない。地上では、父親の中にある子女の核が、母親を通して生まれるようになっている。これと同様に、天の父の懐にある核が、天の母の懐を通して生まれるのであり、その存在は、天の父母の愛と一つになってこそ、霊人として完成するのである」と語っておられます。

私が以前には知り得なかった深い内容、また、今までの原理観を覆すような驚くべき内容が、『原理原本』から読み取れるのです。「『原理講論』は、『原理原本』を元として書かれた」とされていますが、このような内容に触れる時、果たして、そう言えるのだろうかと思わざるを得ません。

この『原理原論』は、『原理原本』を翻訳・解析したものです。著者であるH氏が、『原理原本』を何度も精査しながら、意味を読み取ることができるようになるまで修正を重ねたものです。また、重複している内容、分散している内容、順序通りになっていない内容などがあったため、それらを整理し、章と節のタイトルが付けられました。こうして既に原本ではなくなったので、『原理原論』となっているのです。

・・・(中略)・・・

H氏は、金元弼(キムウォンピル)氏の『原理原本筆写本』、さらに文鮮明師直筆の『原理原本』に出会い、その翻訳・解析に没頭しました。その結実がこの『原理原論』です。『原理原本』は、文鮮明師が朝鮮戦争の最中(さなか)に書かれたものです。また、ご自身がメシアでありながら、それを宣言することのできない立場で書かれました。このような執筆当時の状況や、同師の事情が読み取れると思います。そして、同師がメシアとして何をされていかれたのかが、理解できると思います。

この『原理原論』が、皆様の真理探究の道標となることを願って止みません。

2022年2月22日

世宗大学(韓国ソウル)准教授
村上賢一